このレッスンでできるようになること
時刻で動くRoutineに慣れたら、必要な出来事が起きたときだけ動く方法を考えます。たとえば、相談窓口に届いた投稿から対応案を作る仕事です。ただし、すべての投稿に反応すると、不要な処理や同じ内容への繰り返し対応が増えます。このレッスンでは、起動条件を絞り、重複を抑え、使用量を見ながら運用を調整する方法を学びます。
1.反応する出来事を文章で定義する
今回は、練習用のSlackチャンネルに届いた「要確認」という言葉を含む相談を題材にします。条件は、指定チャンネル、対象となる投稿、必要な情報の三つに分けます。「どこかで相談が来たら」ではなく、「指定チャンネルの新規投稿に、要確認と案件のリンクが両方ある場合」と定義します。
対応する内容は、相談の整理と追加質問の下書きまでにします。投稿元への自動返信は、最初の練習に含めません。起動条件が正しいかと、返信内容が正しいかを同時に試すと、問題が起きた場所を特定しにくいためです。まずは自分の会話へ結果を集めて確認します。
2.イベント接続を確認する
公式には、SlackメッセージやGitHub通知などを契機にする連携が案内されています。ただし、イベント起動用のCursorアカウント連携と、通常のSlack・GitHubプラグインは別です。プラグインから投稿を読めても、イベントを受け取れる設定が済んでいるとは限りません。
担当Botの会話で、利用できるイベント連携と必要な認証を確認します。案内されたアカウント連携画面を開き、対象のワークスペースやリポジトリを確認して接続してください。公式資料では全環境共通の固定メニュー経路までは示されていないため、見えない設定を推測して作業しないでください。
対応する連携が使えない場合は、イベント起動を設定済みと扱いません。代案として、決めた時刻に対象を確認するRoutineを検討できます。その場合も、常時監視と同じ速さで反応するわけではないことを、利用者に伝えます。今回の実習を止めて、条件の設計だけを残す選択でも構いません。
3.狭い条件で起動を設定する
次の依頼文は、対象チャンネルを会話で指定してから使います。Botが作成した条件は、自然文の返答だけでなく、表示された設定内容でも確認してください。条件を表現できない箇所があれば、代替案を示してもらい、未対応のまま運用を始めないようにします。
4.重複と連鎖をテストする
重複対策は「同じ投稿を二度処理しない」と書くだけで完成しません。投稿リンクやイベントIDなど、同一性を確かめる情報が取得できるか、処理済みの記録をどこへ残すかを確認します。これは本ガイドの運用設計案であり、Routineに重複防止が標準装備されていると保証するものではありません。
実装可能なら、処理済みの識別情報と結果の保存先を記録し、再実行時に先に照合する手順を加えます。ただし、同時に二つの処理が始まる場合や、途中で記録に失敗する場合まで完全に防げるとは限りません。外部更新を自動化する段階では、接続先の重複防止機能も含めて検討します。
練習用チャンネルで、条件に合う投稿、言葉だけ合ってリンクがない投稿、条件に合わない投稿を試します。同じ案件の別投稿を、同じ出来事として扱うかも決めてください。さらにBotの結果が次の起動条件に当たらないか確認します。自分の出力を読み続ける連鎖が起きると、業務上の成果が増えないまま処理だけが続きます。
5.使用量を仕事の価値と照らす
SettingsのUsage & Billingが表示されるアカウントでは、週次の使用量や追加使用を確認できます。表示されない場合はCursorのアカウントページや組織管理者へ確認します。利用できる追加課金の設定は契約によって異なるため、存在しない上限設定を前提にしないでください。
確認する数字は、起動件数だけではありません。一日に何件起動し、そのうち何件が人の判断に役立ったか、何件をやり直したかも記録します。百件を処理しても有用な結果が一件なら、条件を絞る余地があります。入力範囲や出力の長さを減らすことで、確認する人の時間も節約できます。
「一日三件の結果を人が確認してから対象を広げる」のような運用上の基準を設けましょう。これは製品が自動的に実行数を制限する設定とは別です。上限に達したとき誰がRoutineを一時停止するか、増加に気付く頻度も決めます。依頼文の目標と、実際に強制できる制限を混同しないことが重要です。
実践課題と完了チェック
一つのイベントについて、起動する条件、起動しない条件、結果を返す場所を書いてください。対応する連携がある場合だけ設定し、三種類の練習投稿で確認します。重複対策の限界、使用量を確認する場所、一時停止の担当を記録できれば完了です。速く反応することより、必要な出来事にだけ反応し続けられることを、運用の基準にしましょう。

