このレッスンでできるようになること
資料を読むBotができたら、次は必要な情報へ届く環境を整えます。ここで覚えたいのは、アプリをたくさん接続する方法よりも、「どの場所で、誰のアカウントを使い、何を読ませるか」の決め方です。今回は練習用の資料を一つ読み取る仕事を題材に、クラウドPC、手元のPC、アプリ連携の違いを整理します。最後に、接続の目的と終了条件を自分の言葉で説明できれば完了です。
1.Botの作業場所を区別する
Grok BotのクラウドPCは、あなたの手元にあるパソコンとは別の作業場所です。手元のデスクトップに置いた資料が、そのままクラウドPCにもあるとは限りません。「このファイルを読んで」と頼むときには、会話への添付、アクセスできるリンク、共有作業領域の保存先など、資料の所在も伝えます。
公式仕様では、同じユーザーのBotはクラウドPCを共有します。ブラウザーでのログインや作業ファイルは、役職名を分けても隔離されません。「調査担当には見せても、制作担当には見せない」という制御を、Botの名前だけで実現することはできません。仕事上の分担と、サービス側のアクセス権を別々に考えてください。
たとえば研修資料の整理なら、練習用のフォルダーを作り、必要な資料だけを置く方法から始められます。最初から会社全体の共有領域を対象にすると、どの資料を読んだのか、人が追いにくくなります。仕事の範囲が狭いほど、接続の成否も回答の正しさも確認しやすくなります。
2.接続方法は仕事から選ぶ
一度きりの資料整理なら、ファイル添付で足りる場合があります。毎週同じサービスから最新情報を読む仕事なら、対応するコネクターが候補になります。画面上の操作や見た目の確認が必要なら、ブラウザーを使う場面もあります。先に「何を得たいか」を決め、その仕事に必要な接続を選びましょう。
コネクターは、対応サービスを扱うための連携機能です。公式案内では、サイドバーのConnect appsからプラグインを選び、Addと認証を進め、会話で@を使って指定します。利用できるサービスや認証方法はアカウントや組織の設定で異なるため、現在の画面にある選択肢を確認します。
ここで大切なのは、接続できたことと、目的の資料を読めたことを分けることです。認証に成功しても、別の会社のアカウントで入っていたり、対象フォルダーが共有されていなかったりすることがあります。いきなり全件の集計を頼まず、名前が分かっている資料を一つ指定して試してください。
3.一つの資料で接続を確かめる
実習では、自分が内容を把握している短い資料を使います。タイトル、更新日、冒頭の見出しを控えておきましょう。Botには、内容の要約より先に、その資料を見つけられたか報告してもらいます。見つからない場合に似た名前の別資料へ切り替えないよう、対象が違えば止まる条件も伝えます。
結果を自分の控えと照合します。タイトルだけ合っていても、古い複製を読んでいる可能性があります。URLや保存場所まで確認し、正しい資料を読めた後で要約を頼みます。この二段階にすると、接続の問題と文章生成の問題を混同せずに済みます。
4.認証と操作範囲を整える
ログインが必要になったら、引き継ぎ画面で自分が操作します。通常の会話欄にパスワードや確認コードを書く方法は使いません。ログイン完了後には、画面に表示されたアカウント名と対象の作業領域を確かめてから、Botへ操作を戻します。再認証が必要な場合も、その確認を省略しないでください。
依頼文に「読むだけ」と書くことは有用ですが、サービスの権限そのものが読み取り専用になるわけではありません。サービス側で対象を限定できる場合は、練習用領域や必要な権限に絞ります。連携に必要と表示された権限が、今回の目的に比べて広いと感じたら、添付ファイルで代替できないか検討します。
手元のPC上での実行は、クラウドPCの利用とは別の権限です。今回の資料が添付や連携で読めるなら、手元のファイル操作まで許可する必要はありません。接続するたびに、「この仕事を完了するために必要か」と問い直すと、設定が増えすぎるのを防げます。
5.接続台帳を一行で残す
接続が増える前に、サービス名、利用アカウント、対象フォルダー、目的、見直す日を記録しましょう。台帳といっても、大きな管理表は不要です。「練習用ドライブ、研修用アカウント、教材フォルダー、資料の要約、研修終了日に見直す」という一行から始められます。
この記録は、後から別のBotを作ったときにも役立ちます。何のために接続したのか分かれば、使い続けるか、対象を狭めるか、解除するかを判断できます。認証切れで仕事が止まった場合も、どのアカウントを確認すべきかが明確になります。
実践課題と完了チェック
一つの資料を選び、添付・コネクター・ブラウザーのどれを使うか理由を一文で書いてください。次に読み取り確認を行い、資料の所在と内容を照合します。最後に接続台帳を一行残し、今回許可した操作の範囲を説明します。接続の数ではなく、必要な情報へ迷わず到達できることが、このレッスンの成果です。

