このレッスンでできるようになること
朝、メールを開き、気になる記事を読み、会議の資料を探す。忙しいのに、肝心の提案を考える時間が残らない。Grok Botを使うなら、このような仕事の一部を、成果物が返ってくる形で任せるところから始めます。今回のゴールは、自分の仕事を棚卸しし、最初に任せる一件の依頼書を完成させることです。
このコースでいう「賢い人」は、特別な命令文を知っている人ではありません。何を任せ、何を受け取り、どこで自分が判断するかを決める人です。最初から大人数のBotチームを作る必要はありません。まず一つの仕事を動かし、担当を分ける意味が見えてから増やします。
1.「便利そう」から、必要な成果物へ
Grok Botには、名前や役割を持たせて継続的に仕事を頼めます。ブラウザーやファイル、接続したサービスを使うため、依頼では回答の内容だけでなく、何をどこまで操作するかも決めます。通常の相談との違いを知りたい場合は、先にGrok Bot実践コースの第1回を確認してください。
たとえば「競合を調べて」では、対象も調査期間も決まりません。「競合三社の公式サイトで直近一週間の変更を調べ、出典付きの比較表にする」なら、受け取った結果を点検できます。さらに「自社が対応すべきかを判断する材料がほしい」と目的を加えると、変更の列挙と提案を区別できます。これは本コースの練習用の設計例で、効果を実測した事例ではありません。
2.最初のBotを作り、仕事を聞き取らせる
Grok Botを利用できるアカウントでアプリを開きます。公式ガイドでは、サイドバーの「New」、続いて「Create new Bot」から作成し、Botのメニューまたは「Edit Profile」で名前や説明を編集する流れが案内されています。表示名が異なる場合は、その画面の新規作成とプロフィール編集を確認してください。契約・利用枠は「Settings → Usage & Billing」で確認し、この段階で不要な外部サービスを一括接続する必要はありません。
名前は「仕事整理」にします。名前だけで行動が決まるとは考えず、説明欄には次の内容を入れます。個別案件の条件は、説明欄へ次々に追加せず、その案件の会話で渡します。
続いて、会話に次の文を送ります。回答では顧客名を仮名にし、パスワードやワンタイムコードを通常チャットに入力せず、契約書も全文を渡さず、仕事の流れが分かる範囲に絞ります。
3.仕事を選ぶ三つの基準
候補が返ったら、第一に「結果を使う人がいるか」を見ます。誰も読まない日報を自動化しても、仕事の価値は増えません。第二に「必要な情報にアクセスできるか」を確認します。第三に「正しい結果か、自分で確かめられるか」を見ます。便利そうでも、元資料を開けず正誤を判断できない仕事は、最初の練習には向きません。
今回は、公開サイトの変更調査を選ぶとします。対象を三社に絞り、公式のお知らせだけを見ます。営業メールの送信や、自社サイトの変更までは含めません。準備が大きすぎる場合は、一社・一ページに縮めて構いません。仕事の範囲を小さくしても、目的と完成の基準は残します。
4.最初の依頼書を作る
以下の角括弧を自分の条件へ置き換えてから送ってください。このレッスンでは、実行する前の計画を確認するところまで進めます。調査開始と接続の確認は次のレッスンで扱います。
5.後でBotを分けるなら、受け渡すものを決める
同じ調査を繰り返し、収集と確認に異なる指示が必要になったら、担当を分けます。本コースでは「統括が依頼を整理→調査担当が出典付きの表を作成→確認担当が元ページと照合→統括が未確認点を添えて返す」という連携を組み立てます。これは今すぐ作るBotの数を指定するものではありません。
受け渡しには、案件名、調査期間、対象URL、成果物の保存先、未確認点を含めます。確認担当が根拠を見つけられなければ、該当行を調査担当へ戻し、推測のまま完成にしません。Botを分けても同じアカウントのコンピュータやファイルを共有するため、役割名を変えるだけで情報が隔離されるわけではない点にも注意します。
実践課題と完了チェック
「仕事整理」Botを一体作り、聞き取りに答え、最初の依頼書を一件完成させてください。対象、期間、成果物、出典の確認方法、人の承認が必要な操作が書かれていれば、今回の課題は完了です。実行していない仕事を「自動化済み」と記録せず、現在の状態は「依頼設計済み」とします。次回は、この依頼書を使って必要な接続を確認し、最初の結果が返るところまで進めます。

